きらら系とか、女子高生のほのぼの日常みたいなのを主題にした作品ってありますよね。
ああゆう作品って同年代の男が出てくると、読者に反感をもたれやすいかと思います。
かといって、男が1mmも出てこないとそれはそれで現実味が無くなる。(ホモはわがまま)
だから、男の扱いには作家さんも気を遣っているでしょう
で、「のんのんびより」という作品に出てくる男(兄貴)の扱いが上手いなと思いました。
のんのんびよりはクッソ田舎の5人しか生徒がいない学校に通う女の子たちの話です。5人のうち3人は越谷家の人間で、兄貴はその名の通り3人兄妹の一番上です。あとの4人は全員女の子です。(担任も女性です)
都市部の学校が舞台なら、女の子だけで集まって話が展開、男キャラが必要な恋愛要素は…まぁサブキャラ同士で恋してる〜とかしておきゃ良いでしょう。百合要素もね。
でも、田舎の学校となれば話は難しくなります。
都市部の1クラス3,40人程度ならいつものメインキャラを描いて後は輪郭だけ…とか•_•みたいな顔で済まします。こうすると、男の存在と、その描写を避けることが両立できます。
しかしこんな過疎地域の学校では、存在しているのに輪郭だけ出演なんてしたら不自然が過ぎます。ちゃんと顔を描かなきゃいけません。また、人がこんなに少ないのに全く話に関わって来ないというのもおかしな話です。だから、話にも参加する必要があります。ですが、ここで男が女の子を侍らせるようなチャラ男だとそれはハーレムものになってしまいます。また、女子高生の日常系においては、主人公や近しい人が男と付き合うのは禁忌とも言えます。(一方的な恋なら大丈夫。あと百合もOK)
ましてや5人しかいないのにペアがあったら視聴者が好きになれるキャラが少なすぎます。
まとめると、田舎の学校を描写するのには、
- 男が必要(いないと不自然)
- 男にもちゃんと顔を付ける
- 男を話に参加させる
- でも女の子がメイン
- 女の子との恋愛要素を入れない
という要素を全て満たす必要があります。
こんな時男キャラをどうするかといえば普通「おちゃらけネタキャラ」でしょう(多分。)
それなら簡単に5要素満たせそうじゃないか…?
いや、これは視聴者の不快感を煽るだけでしょう。
1人の男が沢山の女の子の前でネタを披露し、女の子がそれに対して「アハハ」とか「つまんね〜」って反応する。
視聴者からすれば、かわいい女の子が沢山いて、男が注目を浴びているという図式は極めて不快なのです。それこそハーレム的な空気を感じます。だからおちゃらけはダメです。
のんのんびよりにおける解法
のんのんびよりの兄貴は典型的なアニメのイケメンで、眼鏡をかけてて、真面目です。普通なら反感買うでしょう。
ではこいつが
- 男が必要(いないと不自然)
- 男にもちゃんと顔を付ける
- 男を話に参加させる
- でも女の子がメイン
- 女の子との恋愛要素を入れない
を如何にして達成したのかというと、
喋らない
と
血縁
です!
喋らないというのは無口なのではなく、声優すらついてないのです。これは上手いなと思いました。
でも喋らないなら話に参加しないじゃんという意見もあります。いや、参加はします。
例えばみんなで定規落とし(消しピンみたいな遊び)をする時、ちゃんと参加してました。でも一言も喋りません。校舎の穴に嵌った時も、一言も喋らないから、助けを呼びません。布団が足りない話では、誰が一緒に寝るか楽しそうにはしゃぐ女子の遠く離れた部屋で骸骨と寝ていました。学内最年少のれんちょんには怖がられています。兄貴はかわいそうです。
ここで彼が、ネタキャラ的に「助けてよ〜」とか言っていたら、かわいそうという気持ちは薄れ、注目を集めたいウザい奴と思われても仕方ありません。
でも何も喋らないから、視聴者からも面白い奴だと認めてもらえるのです。
そして彼は自分からは何もしません。定規落としに誘ったのは妹の夏海ちゃんです。夏海ちゃんファンも、兄貴を誘うのに嫉妬するやつはいないでしょう。
一番会話(兄貴は喋らないけど)が多いのも夏海ちゃんですが、兄妹が仲良く話していても、恋愛関係だと見做して嫉妬するやつはいないでしょう。これが血縁の力です。
まとめ
というわけで
男が必要(いないと不自然)
男にもちゃんと顔を付ける
男を話に参加させる
でも女の子がメイン
女の子との恋愛要素を入れない
を「喋らない実の兄」によって解決したのんのんびよりの作者「あっと」氏は天才です。
かく示された